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イシューツリーを使う意味とは?具体例を交えながら使い方を解説
イシューツリーは複雑化した問題解決に効果を発揮する手法であり、問題の本質を可視化するための優れたツールです。
この記事では、イシューツリーの基本概念から具体的な作り方や事例を交えて、その有用性を詳しく解説します。
イシューツリーとは?
イシューツリーは問題や課題を視覚的に整理し、解決に導く手法のことをいいます。イシュー(issue)は、「考えるべき問題」を指し、特に「本当に解くべき問題」とその解決に向けた課題を指す意味で用いられ、「論点」とも呼ばれています。
複雑な問題を可視化して分かりやすくし、効果的な対策を検討するのに活用できます。
問題や課題の可視化に使われる
イシューツリーは、入り組んだ問題や本質が見えづらい課題を視覚的に整理するのが目的です。
課題を分解する際に、具体的な「仮説」を立てて要因や関連性を可視化することで、問題解決へのアプローチが明確になり、組織全体で一致した理解が生まれます。複雑な問題や抽象的な概念を、分かりやすい構造に変換することで、解決策の立案や意思疎通が円滑に進むといった利点があります。
イシューツリーのほかにも、ロジックツリーやWhyツリーといった手法があります。それぞれやり方や特徴が異なりますので、改めてその違いをみていきましょう。
ロジックツリー
ロジックツリーは、ひとつのテーマ・課題を要素ごとに分解して整理する手法で、主に組織内のタスクやプロジェクトの進捗管理に使用されます。
視覚的に整理し、解決に導くイシューツリーと組み合わせることで、問題が小さな要素に分解され、より具体的な解決策を見つけることが可能となります。 プロジェクトの進捗管理の場合、ロジックツリーでは「プロジェクト全体」を根とし、「各工程の進捗」や「担当者の貢献」などを要素として分解して、全体像を可視化します。
Whyツリー
Whyツリーは、別名『原因追及ツリー』とも呼ばれ、問題の原因を探るための手法です。具体的な事例を挙げながら「なぜ(WHY?)その結論に至ったのか」を追究することで、問題解決の方針を明らかにします。Whyツリーは、トラブルの再発予防にとても効果があります。
イシュー、ロジック、Why、これら3つのツリーを使い分けることで問題をよりスムーズに解決することができます。徹底的な分析と解決策の立案によって、組織全体が一体となって問題に取り組むことができ、より包括的な結果に期待できることでしょう。
イシューツリーを使う意味・メリット
イシューツリーを活用することで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。問題解決におけるアプローチを明確にし、組織全体で効果的な対策を展開しましょう。
特に以下の2点がその意味とメリットにつながります。
問題解決に優先順位が付けやすくなる
イシューツリーは課題を分解し、仮説を立てて問題解決の方針を見つけ出す手法です。このアプローチにより、解決の緊急度や経営に対する影響度などを明確にすることができ、問題解消への優先順位を付けやすくなります。
限られたリソースを効果的に活用するための戦略が立てやすくなるといった特長があります。各要素の重要度を評価し、組織の目標に向けて優先的にアクションを起こすことができます。
問題の本質を掴みやすくなる
イシューツリーは、複雑な要素が絡み合う問題において原因や根本に迫るのにとても効果を発揮します。要因や関連性を可視化することで、本質的な課題が浮かび上がり、解決策の発見が容易になります。
表面的な問題に留まらず、深い理解を得ることができるので、同様の問題を未然に防ぐための戦略的なアプローチが可能です。
イシューツリーの作り方
イシューツリーの作り方は、まず課題を選定し目標を設定。そして仮説を立て、問題解決へのアプローチを深めていきます。
順を追って詳しくみていきます。
課題の選定
まずは、現在の課題を明確にし、クライアントの期待や指標を確認する必要があります。
たとえば、製品の売上低下が問題となる場合、具体的には過去数ヶ月の売上データを分析し、どの製品や地域が影響を受けているかを特定します。 クライアントの期待や指標も考慮し、「新商品の導入が売上低下の主な原因」といった課題を明確にします。
課題が複数ある場合は、ロジックツリーを使用し、それぞれの課題に対応したイシューツリーを作成します。
目標設定
次に、課題が明確になったら、それに対して具体的な目標やゴールを設定します。
課題に対してどういった目標、ゴール設定があるかを明確にし、各課題に対して一つの目標を定め、問題解決の方針をより具体的に描き出します。 「新商品の導入が売上低下の原因」とするなら、目標は「新商品の売上を今期中に10%増加させる」といったものが考えられます。
これにより、解決に向けた方針が明確化され、作業が効果的に進行します。
仮説設定
さまざまな視点からアプローチを考え、仮説を立てます。
たとえば、「新商品の広告戦略を見直す」「販売員のトレーニングを強化する」といった具体的な仮説を設定します。 一つの仮説から派生して新たな仮説を設定することで、問題に対する多角的なアプローチを検討し、深化させていきます。
仮説と検証を繰り返し、最適な解決策を見つけ出します。
イシューツリーの事例
では実際に、イシューツリーを活用した事例をご紹介します。
企業が営業利益の増益を目指す際、売上拡大とコスト削減の2つの目標を設定します。
営業利益を増やす
ある企業が営業利益を増やしたいという課題に直面し、イシューツリーを活用して「売り上げの向上」と「コストの削減」の2つの目標を設定します。
この取り組みにより、組織は具体的なアクションプランを策定し、営業戦略の見直しを図ります。それぞれのアプローチを具体的に整理し、問題解決への道筋を探ります。
売り上げを伸ばす
販売数の増加と単価の向上を促進するため、営業力の強化、代理店の構築、FCの設立などの施策を具体的に展開します。
営業力の向上にはトレーニングやセールスプロモーションの強化が必要であり、代理店の構築には新しい販売チャネルの開発や提携先を検討しました。
また、商品自体の単価を上げるには、売りやすいパッケージ商品を作ることが必要だと考え、デザイナーと相談し、商品デザインを練り上げます。
これらの要素をイシューツリーで整理し、組織全体で一体となったアプローチを実現します。
コストを減らす
コスト削減のためには固定費の見直しと変動費の削減が鍵になります。イシューツリーを使って、固定費や変動費の見直しを行います。
具体的には、人件費、地代、などの固定費と、通信費、材料費、仕入価格、外注費、販売手数料などの変動費をリスト化します。
これにより、コスト削減のポイントを見つけ出し、効果的な施策を展開します。
まとめ
イシューツリーは課題達成の有力な手法であり、問題を整理し効果的な解決策を見つけるのに優れています。 しかし、実際の現場でイシューツリーに取り組みながら問題解決を行うのは容易ではなく、学び始めの人にとっては難しいと感じてしまうことでしょう。
学習を深めるためには、イシューツリーに関する知識の習得と、実際のケーススタディが効果的です。
達成が難しい課題も、イシューツリーの効果的な利用で問題解決に貢献します。