考える力BLOG

哲学で突破 楽術出版 > 考える力ブログ > 考える > 抽象的思考とは|具体的思考との違いや鍛える方法・フェルミ推定との関係性

抽象的思考とは|具体的思考との違いや鍛える方法・フェルミ推定との関係性

考える

抽象的思考とは、複数の事象や情報に共通する要素を抜き出して考える方法です。ビジネスパーソンの方にとって、抽象的思考を鍛えることには、物事を構造的に考えられたり、成功事例を横展開できたりと、数多くのメリットがあります。

当記事では、抽象的思考とはどんな考え方なのか、具体的思考との違いや、抽象的思考を鍛えるメリット、抽象的思考を鍛えるための方法について詳しく解説します。

抽象的思考とは?

抽象的思考とは、具体的な物事や事象に直接的に関わる情報から離れ、一般的な視点から物事を考えることです。実用日本語表現辞典では、以下のように定義されています。


抽象的とは、共通した要素を抜き出して一般化していること、または具体性に欠けていて実態が明確ではないことである。

(引用:Weblio辞書「実用日本語表現辞典」/引用日 2023/4/22)

例えば、パソコンやデスク、モニターなどを抽象化すると「オフィス用品」と抽象化できるでしょう。

具体的な情報ではなく、問題や概念の本質的な要素を抽出して考えることで、より深い理解や新たな視点を得ることができます。抽象的思考は、ビジネスの場においてはもちろん、文学や哲学、科学、芸術などの分野でも重要な役割を果たしています。

抽象的思考と具体的思考の違い

具体的思考とは、物事や事象を具体的に、明確にしていくような思考方法です。

抽象的思考と具体的思考は、思考の方向性が異なります。具体的思考は、物事や事象そのものに焦点を当てる思考法です。そのため、問題に対して効果的な解決策を見いだすのに役立ちます。一方で、抽象的思考は、物事の一般的な性質や構造に焦点を当て、抽象的な概念や理論を用いて問題解決を行います。

【抽象的思考と具体的思考の違い】
例1(用語の例)

「スポーツ」と抽象化された用語を具体化すると「野球」「サッカー」「バスケットボール」などが挙げられます。

【抽象的思考と具体的思考の違い】
例2(ビジネスの場における例)

ある商品やサービスの販売戦略を考える場合、具体的思考は、市場調査を行い、ペルソナを具体的に設定しながら、顧客のニーズや嗜好を分析していきます。

一方で、抽象的思考は、商品やサービスの市場性や消費者心理学の一般的な法則、過去のヒット商品の関連性などに基づいて、商品の特徴や魅力を抽出し、それをしっかりと露出するような広告戦略を考えます。

フェルミ推定と抽象的思考の関係性

フェルミ推定とは、物事の答えを正確に求めるのではなく、推測や見積もりによっておおよその答えを導き出す思考方法のことです。イタリアの物理学者エンリコ・フェルミによって提唱されたことからこの名前がつけられました。

【フェルミ推定の問題例】
    • 日本にある電柱の数は何本か
    • アメリカでスマートフォンを使用している人は何人いるか
    • キャッシュレスは日本でどれくらい普及しているか

フェルミ推定では推測に基づく答えを導くために、抽象的思考をフルに使う必要があります。実際にビジネスの場においても、フェルミ推定の考え方を活用している場面は多くあるでしょう。例えば会議中や出張中など、時間や情報が限られている状況や、正確なデータが入手できない場合に、フェルミ推定は有効です。

抽象的思考を鍛えるメリット

抽象的思考を鍛えることには、以下のようなメリットがあります。

  • 論理的思考能力が向上する
  • 発想力や想像力が向上する
  • 物事の本質を見抜けるようになる
  • 物事を単純化して考えられるようになる
  • 成功事例や発生した問題に対する解決方法を、その場限りで終わらせるのではなく、他の事象に対して横展開できるようになる

抽象的思考を鍛えることで、既存の概念や枠組みにとらわれず新しいアイデアを生み出すことができるようになったり、幅広い解決策や切り口の異なった解決策を考えられるようになったりと、様々なメリットがあるでしょう。

抽象的思考ができる人の特徴

抽象的思考ができる人は、一般的に以下のような言葉で形容されることが多いです。

  • 話の飲み込み、理解が速い
  • 頭の回転が速い
  • 直観力に優れている
  • 質問が鋭い
  • 本質を見抜く力がある
  • 地頭が良い

もちろん、「これらの特徴に当てはまる=抽象的思考が得意」というわけではありませんが、抽象的思考ができる人は具体的な事象や複雑な概念を分析して言語化できます。そのため、一般的に「賢いタイプ」と周りから思われることも多いようです。

抽象的思考を鍛えるための主な方法

最後に、抽象的思考を鍛えるための主な方法を4つご紹介いたします。自分が興味を持った方法からぜひ試してみてください。

抽象的な内容の本を読む

抽象的な内容の本とは、具体的な事象や現象に対して抽象的な概念や理論を用いてアプローチする書籍のことです。難しい説明に見えますが、イメージとしては数学や物理学の教科書、哲学書、社会学や心理学の研究書などが抽象的な内容の本にあたるでしょう。 抽象的な本は、自己啓発書やビジネス書などの実用書とは異なり、長期的な視野を持った洞察力を磨くことができます。歴史的、文化的、哲学的なアプローチを採用している本に出会えれば、物事に対して本質的な目線から考える能力が身につきます。

謎かけで物事の共通項を探す訓練をする

謎かけとは、「〇〇とかけまして、△△と解く。その心はどちらも~~です。」といったような、同音異義語を利用した言葉遊びです。 謎かけは、一見バラバラに見えるような2つの言葉から共通項を探すという、言わば抽象化をしている作業となります。抽象的な内容の本を読む方法と比較して、遊び感覚で手軽に取り組めるのも1つのメリットです。

具体的な問題を一度抽象化する癖をつける

具体的な問題を抽象化することは、問題の本質を見つけるために役立ちます。 「抽象化する癖」というとやや難易度が高いように感じられるかもしれませんが、まずは目の前の問題を簡潔に説明することから始めましょう。簡潔に説明するのに便利な言葉に「要するに」というのがあります。この言葉を使うと複雑な事を単純に見えやすくする必要があります。 その後、その事柄を含むカテゴリーを設定し、その事柄を含まないカテゴリーを見つけて比較してみましょう。 例えば、ボール、バット、ミットと言えば野球と言うカテゴリーを見つけられるでしょう。 ボール、ゴール、スパイク、キックと言えばサッカーと言うカテゴリーになります。それぞれのカテゴリーを分析すると、ボールと言っても野球ボールとサッカーボールでは違うことが分かります。 こうすることでボールに対する見方が広がります。例えばラグビーボールもあれば卓球ボールもあります。形も違えば屋外と室内の違いもあります。 抽象的に考える習慣をつけることによって、問題をよりシンプルに理解することができるようになってきます。その結果、各問題の解決策を見つけるために必要な情報・課題をよりてきかく特定することができるようにもなるでしょう。

図解で解説する習慣をつける

図解とは、言葉だけでは伝えにくい複雑な概念やプロセスを、図やグラフなどの視覚的な手法を使って、分かりやすく表現することです。 具体的な事象や対象を抽象化する際に、頭の中で抽象的に考えるのが難しい場合は、ぜひ図解を用いてみましょう。視覚的に情報を整理できるメリットがあるほか、言葉だけでは伝えにくい複雑な概念やプロセスも、図解することで相手に対してより簡潔に説明することができます。 また、視覚情報を加えることで、単なる文章や言葉よりも深い印象を残しやすく、相手の記憶にも残りやすいです。そのため、プレゼンテーションや資料などに図解を活用することは、抽象的な内容を伝える際において非常に有効です。

まとめ

抽象的思考は、大局的な視点から物事を捉え、柔軟で創造的な解決策を生み出すのに役立ちます。一方で具体的思考は、現実的な問題解決に重点を置き、その問題に対する効果的な手段を見出すことが可能です。抽象的思考も具体的思考も、どちらかが重要というわけではなく、どちらの思考もビジネスの場では大切であり、状況に応じて使い分けることが求められます。

抽象的思考を身につけるためには、学術書などの抽象的な内容の本を読んだり、水平思考クイズに取り組んだり、図解する癖をつけてみたりするのがおすすめです。

楽術出版では、e-learning、集合研修でAI道場破りが出来る「考える力シリーズ」をはじめAIよりも速く、心を知的に使い様々な課題の問題解決を遂行する考える力が具体的に身に付く講座を開催しています。ぜひお気軽にご相談ください。

  • 考える力シリーズ 講座紹介
  • 考える力基礎編 申し込みをする