考える力BLOG
直感的思考とは?メリット・デメリットと活用法を徹底解説
直感とは
「直観」と「直感」は共に「ちょっかん」と読みますが、その意味には微妙な違いがあります。 「直観」は、経験に基づいて、得られる情報をもとに判断を行います。直観には過去の学びや知識、経験が必要となり、素早く判断が出来ます。 例えば、職人の勘は長年の経験と実践によって養われた、熟練の職人が持つ特別な能力です。 彼らは材料やツールに触れ、作業を進める中で、直観的に何が必要で、何が問題を引き起こす可能性があるかを感じ取ります。 これは言葉や論理的な説明では説明しにくいもので、彼らの経験に基づいて判断します。 「直感」は意識から離れ、無意識から湧き上がるものです。これは、感情や感覚的な洞察に基づいています。直感はしばしば論理的な説明が難しく、理性に基づかないように感じられることがあります。 例えば、初対面の人との出会いで、その人が信頼できるかどうかを直感的に感じることがあります。この感覚は論理的に説明することが難しく、直感の特徴です。 従って、直感は感情や感覚に基づくもので、どうしてそう感じたのかという理屈を追求することよりも感じることを主に意味します。 直感的思考は日本語では「直感」を慣例的に使いますが、直感的思考は、直感と直観は特に区別せず両方の能力を使った思考法です。 (直観的思考と言う言葉も存在しますが、本記事の意味とは違う発達段階の認識論で使用します) この記事では、直感的思考と論理的思考の違いを述べて行きます。
直感的思考と論理的思考の違い
直感的思考と論理的思考は、情報処理や意思決定のプロセスが根本的に異なります。 直感的思考は、感覚や経験に基づいた素早い判断や決定が可能です。 特徴として、感情や感覚に頼る傾向があり、複雑な問題に対しても瞬時に答えを出すことができます。 その反面、正確性や論理的な根拠が不足している事が多いとも言えます。そのため、直感的思考は主観的であり、個人の経験や感情に左右される事が欠点です。 一方、論理的思考は、論理的な原則や証拠に基づいて問題を分析し、判断するプロセスです。 論理的思考は客観的で、事実やデータに基づいて意思決定を行うため、正確性と信頼性が高いと言えます。 しかし、論理的思考には情報を集め、分析するための手間が必要で、時間が掛かる傾向があります。
直感的思考と論理的思考はどちらがいいのか
結論から先に言ってしまうと、場合によりけりです。言い換えるとケースバイケースともよく言われます。 直感的思考は感情や経験に依存するため、瞬時の反応が可能ですが、誤った判断をする危険性があると言えます。しかし、人間の判断の多くは直感的思考によるものと言われています。 勘違いなどは誤った判断をしてしまった例であると言えます。 一方で論理的思考は論理的な根拠に基づき正確な結論を導き出しますが、2で述べた通り時間と手間が必要なため、瞬時の判断ができません。 適切な状況において、両方の思考スタイルを組み合わせることが大切です。
直感的思考の例
直感的思考は日常の様々な判断をするときに使われています。 経験的直感的思考では「前もこうだから今度もこうだろう」と言うものです。 例えば歩きなれた道で、「ここには段差があるから気を付けよう」と判断をする時などが直感的思考です。 また、何かが起こった時に、これってもしかしてこういう事なんじゃないか?という予想や、ひらめきやセンスと言ったものも直感的思考です。 また、初対面の人に会う時には「第一印象が大事」と言うのも、人は初対面の人を判断するときに理屈ではなく直感で判断するからです。 明るく元気で清潔感のある人にはなんとなく好印象を持つでしょうし、暗くてだらしない恰好をしている人には良い印象を持て無いでしょう。
直感的思考のメリット
論理的思考との違いから直感的思考のメリットを見ていきましょう。 例えば自動車のエンジンがかからなかったとします。この時に色々と原因を考えると思います。 まずエンジンをかけてみて、どこで止まってしまうのかと言う事実確認をします。その次に原因として考えられることを挙げていきます。 その中から確率が高そうなものから調べて試していくでしょう。 しかしこのように判断していては、正確性を追求はしていますが、時間が掛かってしまいます。 熟練の職人であれば、時間をかけずに直感的に原因を判断できます。症状を見た瞬間に原因がひらめきます。 このように、人間には経験を積むことにより、論理的な思考を使用せずに重要な教訓や洞察を知覚する能力がもともと備わっているのです。
直感的思考のデメリット
直感的思考にもデメリットはあります。 先ほども挙げました「勘違い」と言うような判断ミスを起こす可能性があります。 また直感的思考で判断したものは説明しにくいと言う欠点もあります。 根拠がないため、相手を説得し難いのです。 例えば、なぜ不味いのか、なぜ臭いと思うのかと聞かれても説得することは難しいでしょう。 この場合は自分ですらなぜなのかわからない場合も多いのです。 また自分の感覚ですから、他人に合わせることが出来ません。プロジェクトなどチームを組んで仕事をする場面においては、コミュニケーションをとりながら進めていきます。そのような時は分かりやすさや論理的根拠が必要です。 企画をする時に「直感で北海道なら売れると思います」と言ったとしても誰も納得しないでしょう。
直感的思考の活用方法
直感的思考はひらめきや経験から瞬時に判断を行うため、経験を積むことで様々なところで活用できます。先ほどの熟練の職人のように論理的思考に頼らずとも、直感で瞬時に判断できます。
ゼロ秒思考
ゼロ秒思考は、直感力を生かし自分の論理を説明する方法です。即座の反応が重要で、状況に対して速やかに判断し行動するスキルです。 先ほどの「直感で北海道なら売れると思います」というのもゼロ秒思考ですが、それが説明できないため思考になっていません。この「北海道で」と言う直感が経験的勘や根拠のある閃きであれば、瞬時に根拠を示し意思決定が可能になります。 ゼロ秒思考を実践するには、教育と訓練が欠かせず、組織全体でスキル向上を図ります。
論理で導けない違いを直感でつくる
論理的思考は、現状を整理し正確に進めるには適していますが、発想を飛ばすなどの不連続なものを生み出すのには向いていません。 例えば、商品などの企画をする時には、論理的に考えると似たり寄ったりの結果になってしまい、思うように企画が進まないことがあります。 このようなときは、経験と深い理解に基づいた無意識の領域から湧き出す直感的思考が重要となります。直感的なひらめきにより生み出されるヒット商品は数多くあります。
論理的思考を補完する
仕事においては、簡潔に説明をする、円滑なコミュニケーションを取る、など論理的思考が非常に重要です。 しかし先程、論理的思考は新しい企画や商品を生み出すのには向かないと言いましたが、直感で出したアイディアがあれば、今度はそのアイディアは論理的思考により実現して行くことになります。 直感は鍛えることが出来ますので、直感を鍛え論理的思考をさらに生かしていくことが出来ます。
まとめ
ここまで直感的思考と論理的思考の違いの話をしてきましたが、直感は生きるために必要な能力です。一方、仕事や文化的な生活を送るために、論理的思考は欠かせません。 私達は、生活のほとんどの部分を直感で判断しています。それは人類の歴史で学んだ経験によるものです。 これを意識的に身に着けて仕事で活用できるようになれば、強力な武器になります。 直感的思考は抽象的思考でも重要な要素になるため、体系的に身に付けられれば大きな成果を得ることが出来るでしょう。 考える力講座では直感的思考、抽象的思考、論理的思考等を系的に学ぶことが出来ます。