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論点思考を身に付けるには?やり方やトレーニング方法について解説

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論点思考を身に付けるには?やり方やトレーニング方法について解説

論点思考が重要視される背景


論点思考は、問題解決の有力なツールである一方で、その適用には批判的な思考が必要です。

問題の本質を深く理解し、その多面性を考慮することで、論点思考をより効果的に活用することができます。 
ビジネスや社会における複雑な問題に対しては、論点思考を他の思考法と組み合わせることで、より総合的で実践的な解決策を導き出すことが可能となります。 

論点思考とは? 

論点思考は、問題解決のために議論や分析の中心となる核を正確に特定し、適切な方法を見つけ出すプロセスです。 
このプロセスの効果性は、問題の核心に迅速に焦点を当て、無関係な情報を排除する能力に依存します。 

しかし、このアプローチには、問題の複雑性や多面性を過小評価するリスクが伴います。特に、問題の根本原因が複数の要因によって形成されている場合、単一の論点に焦点を当てることで重要な側面を見落とす可能性があります。 

論点思考がもたらす効果の批判的検討 

論点思考は、複雑な状況を構造的に解きほぐし、効率的な対応策を導き出すことが可能とされます。 
この思考法は、時間やリソースの最適化に貢献すると考えられがちですが、実際にはその適用範囲や効果には限界があります。 

論点思考が効果的であるためには、問題が明確に定義され、その解決策が比較的直接的に導き出せる状況に限られます。 多次元的な問題や、社会的、文化的な要素が強く影響する問題に対しては、論点思考だけでは十分な解答を見つけることが難しい場合があります。 

ビジネスにおける論点思考の価値とその限界 

ビジネス環境で論点思考が強調されるのは、迅速な意思決定と効率的な問題解決が求められるからです。 
プロジェクトの進捗促進や個人の能力開発に寄与する面は確かにありますが、この思考法がビジネスのあらゆる側面に適用可能であるという考え方には慎重であるべきです。 

ビジネスの問題はしばしば、複雑な人間関係、組織文化、市場の不確実性など、多様な要因が絡み合うものです。 
論点思考を過度に信頼することで、これらの要因を過小評価し、実際には適切ではない解決策を採用するリスクがあります。 

論点思考の適用方法

論点思考の適用方法

論点の特定 

問題に関連する論点を特定する際には、広い視野を持って問題を捉えることが重要です。この過程では、以下の手法を用いることで、多角的な視点から論点を探求できます 。

情報収集の多様化: さまざまな情報源から情報を収集し、その問題に対する広範な理解を目指します。異なる専門分野の意見や研究結果を参照することで、予期せぬ論点が浮かび上がることがあります。 

関係者の視点の模倣: 問題に関わるさまざまな関係者の視点を想像し、彼らがどのような論点を持つかを考えます。このプロセスを通じて、より包括的な論点リストを作成できます。 

論点の絞り込み 

集めた論点の中から、具体的な対応が期待できる論点を選定するには、以下の基準を用いると効果的です 

対応の可能性: 選定された論点に対して、実現可能かつ効果的な対応策が提案できるかを評価します。 

実行の実現性: 対応策が現実の条件、リソース、時間内で実行可能かを検討します。 

期待される効果: 対応策によってもたらされる期待される効果を分析し、その論点の優先順位を決定します。 

論点の分析と確定 

選定された論点に対する深い分析を行い、最適な方針を定めるには、以下のアプローチが有用です 

根本原因の探求: 問題の根本原因を特定するために、5つのなぜ分析(5 Whys analysis)やフィッシュボーン図(原因と結果の図)などの手法を用いて深掘りします。 

仮説の設定と検証: 解決策の策定に当たっては、仮説を立て、それを検証するプロセスを重ねます。この段階で、批判的思考を行使し、仮説に対する反証を積極的に探します。 

思考プロセスの確認 

最後に、全体の思考プロセスを振り返り、その論理性と妥当性を検証することが重要です。これには、以下の手法が有効です 

ロジックツリーの利用: 問題、論点、対応策をロジックツリーにまとめることで、思考プロセス全体の構造を明確にし、ギャップや非論理性を特定します。 

外部フィードバックの活用: 外部の視点からのフィードバックを求めることで、自身の思考プロセスに対する盲点を発見し、より包括的な視野を持つことができます。 

最後に、定めた論点に基づく思考プロセス全体を振り返り、その妥当性を検証します。ロジックツリーを活用することで、この検証作業が容易になります。 

論点思考の磨き方 

多角的視野の養成 

異文化・異業種からの学び 
多角的視野を養うには、自分の居る環境や文化、業界の枠を超えた知識と経験が必要です。異文化や異業種に触れることで、自分の前提とする常識が実は特定の文脈に基づいたものであることに気づくことができます。
例えば、国際的なニュースを追う、異業種のセミナーに参加する、または海外の同業者との交流を持つことで、新たな視点や思考のヒントを得ることができます。
 

ロールプレイと視点の転換 
多角的視野を養うもう一つの方法は、ロールプレイを通じて異なる立場から問題を考える練習をすることです。特定の問題に対して、異なる関係者(消費者、社員、経営者など)の立場を想定し、その視点から問題解析を行います。
このプロセスは、自分の視野に囚われず、より広範な視野で物事を捉える能力を養います。
 

知識の深化 

横断的学習の推進
論点思考の基盤となる知識は、特定の分野だけでなく、横断的な学習から得られます。例えば、経済学の理論を学びながら心理学の知見を取り入れることで、消費者行動の理解を深めることができます。
このように、一つの問題に対して多様な学問領域からのアプローチを試みることで、より複雑で深い理解が可能になります。
 

専門外の知識への好奇心 
専門分野以外にも目を向け、好奇心を持って学ぶことが知識の深化につながります。新しい知識に触れることは、思考の枠組みを広げ、未知の論点に気づく機会を提供します。趣味や興味の範囲を広げることも、知識の深化に寄与します。 

ディスカッションとディベート 

積極的な意見交換の場の創出 
ディスカッションやディベートは、思考を整理し、他者の視点を理解する上で非常に有効です。このためには、積極的に意見交換の場を創出し、参加することが重要です。
異なるバックグラウンドを持つ人々との議論は、自身の考えを再評価する機会を提供し、論点思考を深めます。
 

批判的思考の実践 
ディスカッションやディベートでは、ただ意見を交換するだけでなく、批判的思考を実践することが大切です。提示された意見や情報に対して、その根拠や論理を問い、反証や別の視点を提案することで、より深い理解と洞察を得ることができます。この過程で、自身の思考プロセスも洗練されます。 

論点思考を磨く上で、多角的視野の養成、知識の深化、そしてディスカッションとディベートへの積極的参加は、批判的洞察を深めるために不可欠です。
これらのアプローチを通じて、より複雑で多面的な問題に対して、柔軟かつ効果的に対応する能力を養うことができます。
 

論点思考と仮説思考の関係

論点思考と仮説思考の関係

論点思考と仮説思考は、問題解決プロセスにおいて相互に依存する関係にあります。論点思考は問題に関連する核心的な論点を明らかにするプロセスであり、仮説思考はこれらの論点に対する潜在的な解を探求する過程です。 
効率的な解答や対応策の導出には、これら二つの思考プロセスのバランスが不可欠であると言えます。 

論点の特定  
論点思考では、問題に対する深い理解と多角的な視点が求められます。批判的思考を用いて論点を特定する過程では、問題の表面に現れる症状ではなく、その根本原因に焦点を当てることが重要です。 
この過程で、異なる分野の知識や理論を適用し、問題を構造的に分析することで、真の論点を見極めます。 

仮説思考と論点の深化 
仮説思考は論点思考によって特定された論点に対する解決策を提案するプロセスです。この段階では、論点に基づいて立てられた仮説を検証し、反証することで、最も効果的な対応策を導き出します。
批判的思考を活用することで、仮説の検証過程はより厳密になり、仮説の弱点や盲点を発見しやすくなります。
 

多角的視点からのアプローチの重要性 

論点思考と仮説思考の組み合わせは、多角的視点から問題にアプローチする際に特に力を発揮します。問題に対して一つの視点からだけでなく、さまざまな角度から考察することで、より包括的で実現可能な解決策を見つけ出すことが可能になります。

例えば、経済的視点、社会的視点、技術的視点など、異なる視点を統合することで、問題の多面性を理解し、より効果的な仮説を立てることができます。 

まとめ

論点思考は、問題の核心を見極め、その解決への道を模索するプロセスです。この記事を通じて、論点思考の本質とその適用方法、さらにはその能力を高める方法について理解を深められたのではないでしょうか。

論点思考を効果的に活用することで、ビジネスや日常生活における多様な状況に対して、より効率的かつ効果的に対応することができるようになります。 

 

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